恐ろしく素晴らしい : “ゴジラ”レビュー (GODZILLA in Japanese)

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最新版「ゴジラ」は、物足りない映画であった。長すぎるショットが原因ではない。しかし、一部の批評家が寄せた様な嘲笑に値する映画だという意見でもない。本作は、我々の心を掴んで離さないシーンの連続なのだから主役は勿論、あの「ビッグガイ」である。

これまで以上に大きく、おぞましく、恐ろしくなって、あの「キングオブモンスター」が帰ってきた(“今回の”ゴジラを作り上げたデザイナーの努力は、歴代のアニメチックなゴジラ“達”を赤面させることだろう。)

ブライアン・クランストンは、日本で–勿論、この国以外の選択肢などないのだが–原子力エンジニアとして尽力する男である。しかし、その原子力発電所で起きたメルトダウンで妻を失い、彼は、次第に、まるで何かに囚われたかの様に反原発、反政府陰謀論者へと変貌していくのである。

15年が経ち、彼は物議を醸す(一部の人は、馬鹿げているというかもしれない)言動で逮捕される。その彼を助けに日本に呼ばれたのは、疎遠になっていたアメリカ兵の息子であった。彼は既に一人前の大人であり、母国には家族さえ残して来ているのである。しかし、その時、突然巨大カマキリの様な生物、巨大未確認生物(以下、MUTOS)が姿を現し、そして現れるのは正義の味方、ゴジラである。あっという間に、その三体は街中を踏み飛び回り(MUTOSの内、一体は飛行する事が出来る) 、何もかもを木端微塵にしてしまう。(朗報: アクションシーンは西海岸が舞台である。つまり、ついにニューヨークが破壊されることないアクション映画を鑑賞出来るのである!)

クランストンはいつも通り自然なパフォーマンスで我々を魅了してくれる。アーロン・テイラー=ジョンソンは男気だけが前面に出てしまい、無表情のヒーローとして終始してしまっているのが残念だった。渡辺謙が演じた堅物の日本人博士。彼のセリフの多くは実に鼻につく。稀代の名優、デイビッド・ストラザーン演じるは、「人類対モンスター」のバトルで指揮を取る、アメリカ陸軍士官である。全身全霊を捧げた演技を以てしても、本年度最もぎこちないセリフをナチュラルには話すことは出来なかった。

この類のヒット作品が併せ持つ“特殊効果”を楽しみにして、我々観客は劇場に詰めかけるわけであるが、監督ギャレス・エドワーズと彼のチームの作り上げたものは、何とも言い難い。これ程リアルな都市破壊が描かれるのは稀だろう。かつての高層ビル群は、殺風景な景色にポツリポツリと残るだけで、空程高い波が何もかもを飲み尽くし、いくつもの橋はまるでおもちゃの様に壊されてしまう。そして忘れてはいけないモンスター達そのもの。その大きな体と大きな声におぞましさで、この先半年悪夢にうなされることだろう。(小さな子供を連れての鑑賞は考え直した方がいいかもしれない。)

例えば、ゴジラが登場するのに60分掛かったとしたらどうだろう。怪物撲滅の為のメガ爆弾がサブストーリー以上に機能してしまったとしたらどうだろう。セリフの多くが演じる俳優程おかしくて、最後のシーンで少し笑ってしまったとしたら何なのだろう。

結論:最終的にスクリーンから一時も目が離す事が出来なかった。この事実は、称賛に値することだと私は思う。

オリジナルレビュー : スチュアート・R・ブライニアン (FILM REVIEW by Stuart R. Brynien, New York)

翻訳 :  松本裕也 (TRANSLATION by Hiroya Matsumoto, New York)