トムハンクス主演「キャプテンフィリップス」。本作は、2009年のソマリア海賊によるアメリカ貨物船ハイジャック
事件を描いた実話に基づいたストーリーである。
ハンクスは、本作で、時に動揺し、時に心を痛めながらも、強く逞しい勇敢な船長を見事に演じ切
っている。
仲間の船員に目前に迫りくる危険を知らせる場面に始まり、悲痛で、胸が張り裂けそうなエンディン
グに至るまで彼のパフォーマンスは圧巻である。
ソマリア海賊のリーダー、ミューズ役を演じたバルカド・アブディは、映画初出演と微塵も感じさせない
素晴らしい存在感を存分に発揮しで、彼の予想外の行動に我々は目を見張らずにはいられない。
時折生々しい暴力的なシーンもある。しかし、それも、銃声が響くことも無ければ、言葉が交わされる
ことない、息を飲む緊迫のシーンでしっかり調和されている。
ポール・グリーングラスが監督、ビリー・レイが脚本を務め、そして原作は、フィリップス本人により記
された「キャプテンフィリップス」である。本作は、フィリップスとミューズの意地と生死をかけた戦い
手に汗握る、至極シンプルな作品である。
FILM REVIEW originally written by Stuart R. Brynien, New York
TRANSLATION to Japanese by Hiroya Matsumoto, New York